VodcastingにおけるPSPの重要性と最適な動画コーデックについて
ろくにゲームもしない僕がなぜPSPを購入したかというと、ポータブルDVDプレーヤの代替としても注目されているハードウェアで、PCからUSB転送した動画ファイルを再生できるからです。で、うちのポータブルDVDプレーヤが保証期間を終えた最近になって故障したというタイミングの良さ(笑)
そしてPSPは最も普及しているモバイル型のMPEG4プレーヤーのひとつでもあるわけです。まだiPodが動画再生に対応しないという現状では、ビデオのPodcast(つまりVodcastか。)向けの動画を配信するうえで、非常に重要なターゲットだということですね。
ところが、PSP用のMPEG4動画の特殊性はPSPWikiにもある通り。
関連記事:MacからPSP用のMPEG4動画を作成
まぁ動画エンコードはなんとかなるとして、もうひとつ懸案事項があります。それはPSPの動画を収納するディレクトリ名、ファイル名の特殊ルール。加えてサムネイルファイルの問題。
PSPでは、音声ファイル名などはわりとなんでも許容するうえにiTunesのアートワークまでをも表示できたりします。しかし、MPEG4の動画ファイルについては、名称が大文字で「MAQ*****.MP4」(*の箇所は任意の数字)でなければいけないのです。例えば「MAQ00001.MP4」といった具合。
こういったファイル名では、既にメモリースティックに保存している動画ファイルを上書きしてしまう可能性が大きいですし、そんな名称のファイルでは配信する側としては管理が困難になります。
そしてサムネイル画像は別ファイルという面倒さ。「MAQ00001.MP4」というファイル名の動画には「MAQ00001.THM」という名称のサムネイルファイルを同一ディレクトリに収納してやらないと、サムネイルアイコンが表示されません。
これらの問題は、ソニーが運営しているPSP専用動画サイトPortable TVでは、Active Xコントロールによって解決しています。既存のブログサービスやMovableTypeを利用しようと考えてるこちらからすると少々強引にも見えます。そしてPSPのウェブブラウザから直接ダウンロードさせたい場合には、その方法はとれませんね。
などと書いてる僕自身はワイヤレスLAN環境にいないのでPSPでネット接続の経験が無いのですけどね(笑)練馬区の某住宅街ともなると、ホットスポットなるものが滅多にありませんし、野良電波すらも飛び交っておりません、一応ここ23区内なんですけど・・・ という状況なので、じつはPSPのウェブブラウザで動画をダウンロードさせる形の配信方法はあまり重要ではないのかもしれませんね。
そう考えると、PCでダウンロードした動画をPSPに転送するという、iPod的な使い方しかなくなるわけです。幸いなことにMac、WindowsともにPSPをシンクするためのPSPWareやiPSPといったツールがありますし、Windows版のみですがPSPの動画を扱うためにimage Converter 2 Plusや、VideoVaultといったソフトも販売されています。これらを使用すれば先に述べたファイル名の問題は解決できます。さらに素晴らしいことに、これらのツールには動画エンコード機能もサムネイル作成機能もあります。面倒なことが一気に解決です。
つまり、Vodcastingをやるにあたっては、これらのツールに対応したファイル形式の動画さえ用意できれば、わざわざPSP対応のMPEG4動画を作成・配信する必要性は薄い、ということになりますでしょうか。それでは各ツールが対応している動画のファイル形式を見てみましょう。
■PSPWare
mov、mpg、avi、wmv、vob、dv、およびQuickTimeで扱えるファイル全般
■iPSP
mov、mpg、avi、wmv、vob、dv、VIDEO_TS、m2tとなっています。
■image Converter 2 Plus
mov、mpg1/2/4、avi、wmv、Giga Pocket録画ファイル
■VideoVault
wmv7、wmv8、wmv9、mpg1/2/4、asf、avi、VCD、SVCD
まあ、どれも似たりよったりですね。各ソフトに共通しているファイル形式でVodcastingしておけばまず間違いないということになりますでしょうか。ネット配信ですからmov、mpg、wmvあたりですか。(VideoVaultはmovに非対応ですけどね。価格的にどれほどのユーザーを獲得できるか激しく疑問)
それで、VodcastingというからにはiTunesでPodcast登録して見てほしいわけで、そうなるとwmvは完全にアウトですね、QuickTime対応ファイル以外は再生しませんから。mpgのなかでもMPEG2はiTunesで再生できませんね。ということで、mov全般とMPEG1、MPEG4が選択肢になりますけど、ファイルサイズ的に見ていまどきMPEG1は無いですよね。
じゃあmov全般とMPEG4での配信で最良のコーデックは何かというと、現在のところH264が最もファイルサイズが軽くて画質が綺麗ということになりますけども、このH264というのは最新のQuickTime7.0でしか再生できません。しかもそれをインストールできるのはWindows2000/XP以降、MacOSX10.3.9以降。その条件だとまだまだ多くのユーザーが切り捨てになってしまいそうな予感・・・
movの場合はSorenson3もしくはMPEG4(movにもMPEG4コーデックはあります)、MPEG4ファイルの場合はH264を使わずエンコードというのがベストになりますでしょうか。PSPに転送する際に再度エンコードするということを考慮すると、配信する映像はそれらのコーデックのなかでなるべくノイズの少ない設定を探らなければならないですね。
ただ、movはウェブブラウザでの鑑賞が可能ですが、MPEG4ファイルは無理ですね。MPEG4ファイルはローカルにダウンロードしてからQuickTimeなどのプレイヤーで鑑賞するという形になります。Windows2000/XPより古いOSではiTunes5がインストールできないためPodcast登録して鑑賞することはできませんし、一見さんが試しにウェブブラウザで見てみるという事も考慮に入れると、Vodcastするにはmovがベストということになるかもしれません。しかもバージョンの古いQuickTimeでも再生可能となると、コーデックはSorenson3が良いでしょうね。Sorenson3 Proでのエンコードならベストかと思います。
とは書いてみたものの、
ポッドキャスティングのニュースサイト Podcast Now!によると、最近始まったフォトショップのTipsが学べるビデオキャスティング番組では、iTunes5が必要とのこと。 動画ファイルのコーデックを見てみるとH264ではないですか!
基本的にブログというのは将来に渡って長く蓄積していくものですから、過去のOSは切り捨ててしまうという方向はアリかもしれないですね。
【関連記事】
●MacからPSP用の動画をエンコードする挑戦の続き、そして携帯電話へ
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2005年9月29日 16:38