フォルマントを変更して別人の声にする
ストリップサイレンスで一気に無音部分を分割、削除からの続きです。
今度は、分割したリージョンを登場人物ごとに、別々のトラックに割り振ってやります。
最上段1トラック目が作品タイトルのナレーション、2トラック目は男性キャラクター、3トラック目は女性キャラクターの声という風に、リージョンを配置しました。
なぜこうするかというと、今回はたった一人で3人分の声を当てたので、それぞれのキャラクターごとにフォルマントやピッチを変更して、別人の声に聞こえるように加工するためです。
声質の加工にはボーカルトランスフォーマー(Vocal Transformer)プラグインを使用します。
各トラックにボーカルトランスフォーマーを掛けて、フォルマント(声質)とピッチ(音程)をそれぞれ違う値に変更します。男声を女声っぽく聞かせるためには、フォルマントを+4、ピッチを+12(1オクターブ上)くらいに設定すると良いです。
ただし、ピッチを1オクターブ上げるということは、ノイズもあわせて1オクターブ上がるわけですから、平常時では耳につかなかった低音域の雑音までもが聞こえるようになってきます。また、フォルマントを上げると、いわゆるケロケロ声になりがちです。ゆえに、これはあまり音質的には期待しない方が良いでしょう。
この場合の完全なノイズ回避は無理ですが、ある程度の防止策としては、適切なイコライジングとDeEsserにより耳障りな歯擦音を抑えることで、いくらか聞きやすくはなります。
今回は、タイトル部分のナレーションにはダースベーダーのような効果を、男声はあまり手を加えず、女声はピッチ+14、フォルマント+6に設定して、全く違う声の人物が会話している風に聞こえるようにしました。
また、他にも様々なフィルタ、エフェクトを使用して、音声を調整してやりましょう。コンプレッサー、リミッター、EQなどを上手く利用すれば随分と聞きやすい状態になります。
人物の立ち位置などに合わせて、パンニングもしてあげると良いでしょう。移動する被写体があるなら、SEも移動に合わせて振ってやると良いですね。Logic Proなら5.1chと言わずそれ以上のチャンネル数のサラウンドもミックスできますから、多彩な音場の演出が可能です。
さあ、ここまでで出来上がったムービーをご覧下さい(要:QuickTime 7以上)。
キモ井くんとワロ田さん(台詞トラック作業完了)
いかがでしょうか?
まだこれで完成というわけではありませんので、次回「Apple Loopsで動画にBGMをつける」へ続きます。
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投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2006年1月26日 15:20