iPod touch に見る未来予測の難しさ
iPhone ならびに iPod touch の発売でいまやタッチスクリーンのUI(ユーザーインタフェース)が当たり前のものになってきました。
が、我々が去年の今ごろ想像していたのは以下の写真のようなもの。
一見とても似ていますが大きな違いは仮想のクリックホイールが表示されている点。
iPhone や iPod touch の実機に触れた今となっては非常に可笑しいですよね。タッチスクリーン操作なのにわざわざクリックホイールが必要になるわけがない。
Apple製品でなければそれもあり得たかもしれないですが、さすがにUIとデザインの会社ですから、よりタッチスクリーン向きのものを作るに決まってます。と言いつつ当時はそこまで想像できなかったのですが…
なぜ想像できなかったかと言えば、実体験に基づくタッチスクリーンへの理解が足りなかったのも一因ですが、iPod の外観におけるアイデンティティとしてクリックホイールがあまりに強烈な存在感を持っていたからですね。
さてこちらのリンク、1910年に描かれた21世紀の想像図だそうです。
▼Paleo-Future: French Prints Show the Year 2000 (1910)
「Heating With Radium」と題された絵では暖炉がラジウムになってたりして、放射能は大丈夫だろうかと心配になってしまいます。
しかしそれにしても面白いのが、21世紀の現在から見ると全く的を射ていない点、特にデザイン的な面で。この時代、飛行機といえばプロペラなのです。
個人用の空飛ぶ乗り物に空飛ぶ交通整理官というのは、宇宙家族ジェットソンなどとなんら変わりのない未来観ではありますが、本格ジェット機時代が到来する40年も前だと、プロペラ機でないと現実味がわかないのでしょう。先のiPodの件と似ていますね。
SFの未来的な世界観を構築する際、現代のエッセンスを加えるという手法は定石。既存の「いかにも」という部分を加味するのは iPod フェイク写真のような釣りには最適かもしれません。
反対に考えてみると、iPhone などの全く新しいものを発想するには、そういった部分を全く除外した方が良いのかもしれないですね。よく言われる、既成概念にとらわれるなということかもしれません。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2007年9月24日 23:29