ウルトラマンゼロの映画を観たら、トロンやヤマトのもやもやがスッキリ晴れた理由
ウルトラセブンの息子ゼロが主役の映画としては前作「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」についで二作目となる「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国」を観てきました。
この記事の標題のとおり「トロン・レガシー」や「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を観たときのモヤモヤがぜんぶ吹っ飛んだので、その理由も含めて書きとめておきます。
まず本作へいたる序章として、先月と今月DVDシリーズで二本展開した「ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ」という作品があります。本作に登場する「ダークロプス」というのはここから。
ただ、近所のTSUTAYAには置いてなくて、僕は未見のまま映画館へ行ってしまいましたが、全然大丈夫です。というわけで映画の内容について。
石坂浩二のナレーションで始まるのは「大決戦!超ウルトラ8兄弟」以来かな?そんなこんなも含めて過去のウルトラほか特撮シリーズへの色んなオマージュがこめられた最近あたりまえの作風。
まず敵についてですが、前作とおなじくベリアルです。どう考えても前作で倒し切れてないので、当然出て来ますわな。というわけで最初にベリアルと対峙する相手としてミラーナイトが登場しますが、かのミラーマンインスパイアの戦士です。鏡面反射するところならどっからでも出現します。
そんで、M78 光の国へもベリアル配下のダークロプスが襲来するんですが、そいつが別の宇宙(ミラーナイトがいる宇宙)へと情報を送信していることが発覚。スタートレック的に別の宇宙といえば、銀河系内の遠いエリアなのですが、そこはウルトラシリーズですからもろに別の宇宙です。宇宙の果てを飛び越えた別の宇宙ね。ホーキングな世界。そこへウルトラマンゼロが派遣されることになったわけですが…
これまでのSF作品でも、この宇宙とはべつの宇宙へ行くのに、何らかの方法でビュッと飛び越えるような表現はあったかと思います。
しかしさすがは円谷プロです。
この宇宙の外へいったん飛び出して、つまり宇宙(ユニバース)の外側の上位層「マルチバース」へと行ってしまいます。宇宙の果てすら底知れぬ我々ですが、光の国の住人にはよくあることなのでしょうか?
そのマルチバースには泡か風船のようにさまざまな宇宙が浮かんでいるんです。いかにセブンの息子とて、そんなところに存在し得るものなのか?
そしてさらにはその風船みたいな宇宙の数々を見渡し「あそこだ!」と目的とする別の宇宙を選んで入って行くのです。
宇宙って閉じてないの?あの風船みたいなの割れちゃわない?
という疑問もなにも湧く余地をあたえてくれません。マルチバースに人型の生物が存在している時点でもう驚愕のビジュアルですからね。もうこの時点でハッキリと分かるわけです。嗚呼ぼくはいまウルトラマンの映画を観てるんだなと。
なまじヤマトの実写版などと気合いを入れるから期待はずれもあるわけで、最初から着ぐるみウェットスーツのヒーロー映画に何を求めようか。トロン・レガシーがどんなビジュアルショックを与えてくれますか?このマルチバースひとつで粉砕ですよもう。
くわえて、惑星級に巨大なベリアルの船が、惑星エスメラルダにとりつくシーンも驚愕。小学生のころ月と地球が近づいたら重力の影響で崩壊するとか習ったわけですが、そんなのものともせず巨大なもの同士が近寄りすぎておりました。ああこれはもうファンタジーなんだと。気が楽です。
で、あとはジジイが喜びそうな仕込み満載。
ファイヤーマンインスパイアの戦士グレンファイヤー、そしてジャンボーグAインスパイアのロボット ジャンボットが登場。ちなみに炎の海賊には、平泉成、きたろう、ベンガル。
作品を通してバラージの盾なる探し物がありますが、これはご存知の通り、マンの「バラージの青い石」のエピソードに準じたもの。
で、バラージの盾にも「光の巨人」像があるのですが、なんか羽はえてるっぽい。これは…
終盤でその巨人の正体は発覚するわけですが、石橋保、さとうやすえがカメオ出演してるところで勘のいいひとは分かってしまうんでしょうね。ウルトラマンノアです。だってほら、バラージのエピソードでは「ノアの巨人」となってるわけで、当然の登場ですよね。
ほんで、ノアの光をうけてゼロはウルティメイトアーマーゼロになり、スペースゴジラと化したベリアルを倒すわけです。今度こそ本当に死んだだろう。
つかノア登場って、昭和と平成の区分がもう....
そういえば前作はダイナが出てたし、しらーっとマックスもいたよね?
さて今回はゼロが人間と一体化するということで変身アイテムが登場します。それがこちら…
ウルトラゼロアイ
さすがはセブンの息子ですね。
あ、そうそう、今回はセブンとゼロの親子関係に「信頼」が芽生えております。ゼロと一体化した人間であるラン、そして弟のナオにとっても、父との信頼について描かれています。作品を通して、父子の信頼がおもなテーマとなっています。
なぜかといえば、ウルトラマンメビウスで子供だけでなく父親世代もまたウルトラマン視聴者として帰ってきたからですね。作品に入り込みやすい、とても良いテーマだと思います。
あれ?トロン・レガシーも親子…
トロン・レガシーの場合は、ヤリすぎなお父さんを息子が助けに行って、元の世界にお父さんだけ戻れない話でした。なぜかデジタル生命体を実体化させるという倫理的にどうかという面もあり、しかもたぶんお父さんのオンナじゃないかなと思われるそれを息子に託すとか、なんだか共感しがたい面も。
一方、ウルトラマンゼロは「可愛い子には旅をさせろ」そのもので、セブンは遠くからそれを見守っているんですね。結果的にゼロは行ったきりで帰って来れなくなったまま話は終わるんですが、それでも親子の絆は次回作でも保たれてるんだろうなあと、いい気分で観終わるストーリーです。次も期待大。
CGやVFXについては、先に「着ぐるみウェットスーツ」とも書いてますが、それはそれとして、目を見張る点はいくつかあります。
特にジャンボット関連のものは秀逸。
飛行形態であるジャンバードが初出のシーンを観てしまうと、ヤマトの発進シーンはなんだったのかと思ってしまいます。あれはカッコいいわホント。
それにジャンボットは着ぐるみかCGか、今どっち使ってるのかというのが分からないんですよ。やたらよく動くし感動しました。操縦はGガンダムのモビルトレースシステムまんま。ちなみにグレンファイヤーの声優さんはドモン・カッシュの関智一さん。
つうことで、ゼロは別の宇宙に行ったきりで、グレンファイヤー、ミラーナイト、ジャンボットと4人でウルティメイトフォースゼロという新しい宇宙警備隊を設立して映画終了。
次作どうすんでしょうね?
なんでもなく普通に帰ってきてるような気もするし、帰ってくるまでの話を描くのかもしれないし、帰らずにとどまっているのかもしれないし。まあなんにせよオリジナルビデオ作品で4人が活躍しまくってから光の国に帰還するのでしょうね。
そういやゼロがいちどだけレオキックしてました。足が炎になるやつ。さすがはレオの弟子です。そんな細かいところにも、セブンとレオの修行など昔年の想いが乗っかって感動してしまうんですよね。長く続くシリーズならではの楽しみだと思います。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2010年12月30日 12:07