写真のフレーミング内フレーミングについて考えてみる
工事現場近くをぶらぶらと散歩していたら、
ズドーンと遠くまで連なる高架の橋脚がありました。
早速写真におさめたいと思ったのですが持ち合わせているカメラがiPhone 4(つまり広角寄りの単焦点レンズ)しかない。だから撮れた写真はこんなのです。
こういうのは望遠でギュギュっと前後を圧縮して撮りたいので、とても不満の残る撮影でした。家に帰ってフォトショップでトリミングしたのが以下の写真。これくらいで収めたかった。
ところが工事現場だけあって柵がある。
この柵から覗くようにしてやれば、上手い具合にズームアップと同様の視線誘導の効果が得られます。それが下の写真
いちばん上の写真のような間抜けさはなくなったでしょ。結果としてただ望遠で建ち並ぶ橋脚を撮るよりも、ずっと締まった構図を得られたと思います。怪我の功名。
さて標題にもある写真のフレーミングというのは、フイルムやCMOSセンサーにどこまでの範囲を写す=切り取るかということ。
3番目の柵の入った写真はそこからさらに柵自体をフレームに見立てて切り取っています。フレーミング内フレーミングですね。ナメとかゴシとか言います。肩ナメとか枝ゴシとかね。これは柵ゴシ。といってもただのゴシじゃなくて、柵がうまく被写体を囲んでフレームの作用をしてくれてるので、フレーミング内フレーミングと呼んでみました。
フレーミング内フレーミングで格好いいなと思ってるのは「氷室京介:Memories of Blue」のジャケ写。
氷室京介:Memories of Blue
(余談だけどリンク先のカスタマーレビューを感心しながら「こいつよく分かってるな」と読んでいたら、書いたのは昔の自分だったw)
ジャケ写で自分を額装してしまうってどんだけナルシストよw というのはさておき、この写真もただ単に被写体を置いただけでなく、そしてただ単にそれに寄っただけでもない、丸い額で視線誘導しているしそれで構図も作り込んでいるという点が同じですよね。
動画だったら1カット内で寄ったり引いたりパンしたりカット割ったりと自由自在ですけど、一枚の静止画でやるとなるとこれは似て非なるものですね。
そういえば先述のナメやゴシは演出効果としてのほかに、画面を締めたり奥行き感を出すといった効果があります。で思い出したのですが、大学時代にいつも木の枝を持ち歩いている変な奴がいました。いつでも枝ナメで撮影できるようにだそうです(笑)
これから桜の季節ですから、枝ナメ花ゴシの写真をばんばん目にするしご自身でもばんばん撮りまくるんじゃないかと思います。もし桜並木が花吹雪のトンネルのようになっていたり、面白い被写体が枝のあいだから覗いていたら、このフレーミング内フレーミングの話もちょっと思い出して活かしてみてください。
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おまけですが、同日に撮った夕空と街のシルエットの写真。猥雑でとても美しいとは思えない建ち並びも黒く塗りつぶすことでナメていいものに変わりますね。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2011年3月28日 04:30