テリー伊藤のビデオポッドキャスティング、お笑いデジタルコンテンツ研究所
テリー伊藤がプロデュース、お笑い動画のPodcasting配信番組がスタートというニュースです。
お笑い動画コンテンツをPodcasting形式で配信する「お笑いデジタルコンテンツ研究所」を11月下旬より開始する。第1弾コンテンツは江頭2:50が主演し、先着10万名に無料で動画を配信する。
先着10万名に無料ということは、それ以降は有料ということですよね?さてその課金方法は?
料金体系は未定だが、決済方式にはクレジットカードを利用する。動画ファイルの配信形式も、現在最適なものを検討している最中のため未定で、有料化以降は動画コンテンツに著作権保護対策を設ける予定だが、現在のところPodcasting向けの著作権保護技術は存在しないため、独自の著作権保護技術開発を考えている
iTunes Music Storeで使用されているDRMである「FairPlay」はAppleがオープンにしたがらないので、それを使うということはまずあり得ないでしょう。となると、iPodでも再生可能な何らかのDRMを施したMPEG-4ファイルを配信するという事ですよね。その技術を開発できれば、コンテンツ配信自体よりもよほど儲かるんではないかと思ってしまいます。
思うに、iPod向けのDRMを開発するよりは、素直にiTunes Music Storeで日本初のテレビ番組配信を行ったほうが良いのでは?
この企画、ブロードバンド・ピクチャーズ、ロコモーション、レッドライスメディウムという3社によるものだそうですが、3社ともテレビ・映像の企画制作会社のようですから、ITには少し弱いのかもしれません。
江頭2:50が主演、三浦和義やゴリけんなどが出演する「M系タクシー」をお笑いデジタルコンテンツ研究所の「男魂シリーズ」第1弾として配信する。番組は10日間に1話ずつ更新予定で、M系タクシーは1話20分の作品を全3話配信する。今後もコンテンツを拡充、1年間に渡って番組を配信予定
1話20分を10日ごとに配信といった点を見ても、いかにもテレビ制作者的な発想だということがうかがえます。
毎朝とまでは言わないまでも、少なくとも3日に一度程度は更新がないと、それを「見る」ということがユーザーに習慣付けできないと思います。また、だいたい私の実感するところでは、通勤電車内でiPodで観賞するなら1話5分が限度です。PC上で見るなら、もっと短いほうが良いかもしれません。
私は郊外に住んでますが、最寄り駅から電車に乗って池袋までが10分ほど、そこからさらに新宿に行くとなると乗り換えてまた約10分です。ちょうど正味20分ありますが、乗り換えで視聴が途切れますし、通勤時間帯などの諸々の状況を考慮すると、実際に視聴に当てられる時間は全体で10分程度かもしれません。やはり1話20分は長いと思います。ちなみに山手線の池袋〜目黒間がちょうど20分です。長いです。そして遠いです。
つまり、例え通勤・通学にかける時間がドア to ドアで20分以上あったとしても、まとまった20分を確保できることは案外少ないのでは?ということです。
20分なければ表現できないお笑いを追求するという姿勢であればそれも良しなのですが、そういった長尺のコンテンツよりは毎日5分程度のものが配信される方がユーザーにとっては有り難いのではないかと感じます。所詮は暇つぶし用なので、力を入れて作った作品を見せるよりは、毎日見てて飽きないものを流す方が良いでしょうね。
20分を長尺と書きましたが、あくまでそれは私の主観です。テレビや映画的には、20分といえば充分に短編の部類です。が、インターネット上で目にする面白い動画は、ほとんど5分以内の一発芸的なものです。そういう観点から20分を長尺と考えているのです。ちなみにiPodやポッドキャストとは関係ありませんが、週刊アスキーショートムービーコンテストでは、5秒部門、15秒部門、30秒部門といったクラス分けがなされています。こちらのほうがIT関連誌だけあって、求められるコンテンツのスタイルをより的確にとらえていると思います。
こういったテレビ的な感覚を持っていては、ビデオポッドキャスティングでのオリジナルコンテンツ配信にはちょっと苦戦しそうな気がしますね。そもそも『お笑いデジタルコンテンツ研究所』という名前に芸がない。テレビ的にはアリでも、インターネットではナシですよね。
と、いろいろ否定的なことを書き連ねてしまいましたが、それだけ期待もしているということです。私も個人的にお笑い動画の配信をやろうと考えていますので、テリー伊藤氏の動きには注目したいと思います。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2005年11月12日 02:47