汚染されたゲーム脳が見る現実は非現実か
僕は池袋の映画館で「マトリックス」を観た帰り道、路地の壁に垂直に足をかけ、走ろうとしてコケた。
「マトリックス・レボリューションズ」を観た直後、昇りエスカレーターからふと階下の寿司屋に行きたくなり、並列する下りエスカレーターへと飛び乗ろうと脚を振り上げた。「なにしてんの?」と隣にいた嫁に言われ、ハッと我に帰った。明らかにネオになりきっていた。
垂れ流しで観るだけの映画ですら、マトリックス・シリーズのような仮想現実のリアルな描写をやられると、一気に洗脳されてしまう。これがゲームのような、触感を持ったインタラクティブなものなら、一層深刻かもしれない。
超人ハルク・ホーガンの全盛期、男子児童の挨拶は「おはよう」ではなくてアックスボンバーだった。やはり何人かは、喰らって脳震とうを起こしたり、唇を切ったり、歯を折ったりするわけで、そういう経験から、誰もが超人ではないということを身を以て知るわけだ。
かねがね富野由悠季は、身体性の欠如について語っているが、彼の小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカチルドレン」には、宇宙世紀のゲーム映像は現実にほど近く、逆にモビルスーツのコクピットに投影されるのは、CGぽく処理されたものらしい。躊躇せずに人殺しするには、発狂しない程度の柔らかいものが良いという事か。
●映像の原則 ビギナーからプロまでのコンテ主義 富野由悠季
●カトキ立ちの法則と真実
「田口ランディブログ:アメーバ的日常: 理由なんて……」より
「価値がなかったやろ、現実に。無価値の現実に行動を否定する力なんかない」
「この現実が無価値と思っていたんだろうか?」
「そりゃあ、二十四時間ゲームやっとったら、現実なんて無意味やろ」
「だとしたら……、ほんとうに現実が無意味かどうか、試してみたくなったんじゃないだろうか。あの子は。自分が生身の人間として扱われ裁かれるのを、体験してみたくなったんじゃないだろうか。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2005年2月18日 04:38