印刷物でカーキとオリーヴ・ドラブ、チャコールグレーの違いを伝える難しさ
作り手とエンドユーザーの間にある溝の話として、テレビ屋、ウェブ屋、レコード屋、それぞれのスタンスというのを書きました。で、書きながら思い出した昔話をひとつ。
若い頃、某ミリタリーショップでデザイン課長をしてたことがありました。簡単な服飾(てゆうかプリント柄w)からウェブサイトや雑誌広告や店舗内のアレコレと、かなりカバーする範囲は広かったのですが、好きなだけ軍事趣味に没頭できる良い環境でもありました。
さて、そのなかでとても頭を悩ませた問題がありました。
カーキ、OD(オリーヴ・ドラブ)、そしてチャコールグレー、この3色を印刷物でどう表現するかということ。
下手な印刷屋にまかせると、3色とも同じ色味になってしまうのです!
そしてミリタリーショップで扱う商品のカラーバリエーションというのは、この3色がスタンダードだったりするわけで、最悪の場合、色の名前は違えど同じものにしか見えない服が掲載される羽目になったりするわけです。
まずは営業さんが「これ緑で、こっちは茶色ですよね?」と当たり前のことを宣い、それから印刷屋まで出向いて鬼のような形相で監視しつつ、DTPオペレーターのケツ蹴りながら「違げーよボケ!これはODだっつーの!」と何度叫んでも解ってもらえないわけです。そんでもって、実際に色の調合するような人達もやっぱり理解してないわけです。
だって普通はこれって全部カーキって呼ぶじゃん!みたいな(笑)
旧ソ連軍はカーキで、ベトナム戦争時のファティーグはオリーヴドラブで、このTシャツはチャコールなんだよ!!!みたいな泣ける不毛な日々を繰り返し、結局これがまともに再現できた試しは一度もありませんでした。
それでね、時代も時代だったので、ウェブに掲載するのなんてもっと酷いわけですよ。
商品物撮りのカメラマンはちゃんとした人というか、ミリタリーに精通してる釣巻さんしかいないわけで、実際この方の色再現というのはちゃんと解ってる人であるからこそなのですが、デジタル一眼とかメインでやってる時代ではないですし、あがってきたフィルムを某エ社のスキャナでスキャンしてみても、当時のスキャナなんてのはちゃんと微妙な色を読めるわけもなく、だからってウェブにちょろっと載せるだけのために金払ってドラムスキャン頼むわけにもいかず・・・といった状態。
だから何だよという話ですけども、カタログショッピングなどでこれらの色をオーダーするときは、写真と違う印象のものが届く可能性もあるんだよ、という話です。
まあ、もちろんこの3色のバリエーションを厳しく見てる場合だけ気になるのであって、赤と青とカーキとかいう明らかに違う色のカラバリだったらあまり気にすることでもないかもしれないですけどね。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2006年8月 2日 01:26