初代iMac風なスピーカー「CoZo」のプロジェクトX
昔スカパー某チャンネルで流れてた、初代iMac風なスピーカー「CoZo」のテレビCM
スピーカーのデザインはジェット☆ダイスケ先生、CM作ったのはAg先生という、なにわともあれコンビ。
そういえば、以下のようなことを書いてたので、このスピーカーの発売に至るエピソードを披露しておこうか。
このボンダイiMac風のスピーカーを作るに至った経緯は、面白エピソードとしてかなり美味しかったのだけど、それはまたいつか機会があれば書いてみよう。
あれは1998年の5月だったかなぁ。
突如、米Appleのサイトにてこれまでの常識を覆すような、電器炊飯器みたいなデザインのMacのGIFアニメが公開されたんですよね。
USB接続のデバイス?フロッピードライブ無し?外部SCSI端子も無し?緑色?なんだこれは!?
というわけで瞬く間に話題となり、大ヒットの予感バリバリだったわけです。
そんなとき、Macの改造パーツなんかも多々手がけていた内芝製作所の社長が「自分な、このiMacに便乗した何か考えてくれへん?」とか言ってきたわけです。
「例えばモニタの後ろ側に緑色の透明パーツをひっつけてiMac風にするとかどうやろ?」とか社長に言われたんですが、そんなもんは売れるはずもないので即却下。
予定されているスペックを色々と読んでみると、どうやらSRSサラウンドを搭載しているらしい。
当時のMacではSRSサラウンドによる高音質体験がとても流行中な感じだったのです。特にMacintosh
Performa 6410という機種では、本体にサブウーハーを搭載して、子宮にズンズン来る低音が非常に好感触でした。
しかし、雑誌などに載ってる写真を見る限り初代iMacというやつは当時にしては小型で、ウーハーなど見るからに非搭載、どう見ても弱そうなスピーカーがひっついてるだけ。
じゃあ、低音ブリブリのパワードスピーカーを用意したらどうだろう?
というわけで、既存のPC周辺機器とは一線を画す、このiMacの斬新なデザインに合うようなスピーカーってのを考えることにしたんです。
で、軽くジャブのつもりで、3DソフトのShadeを使ってiMac風のスピーカーのイメージ図を作成。それが以下の画像
これ作ってその日は力つきたので、社長にメールで投げて「どない?」ということで帰宅。
しばらくラフ作りに没頭することになるやろな、と思っていたんですが、翌日から風邪ひいて高熱を出して三日間も寝込みました。
で、完治してから出社したら、朝イチで社長が嬉しそうに何やらでかい紙を広げて「できたで!」と言うではないですか。
あわわわわ!!すでに図面になっとる!!!!!(汗)
しかも、試作品の製作を発注したって!?!?!??!?(汗)
まあ、運の良かったことに、Apple純正のパワードスピーカーを開発した会社(大阪にあるんだよ)に発注したようで、音のほうは信頼できそうな感じ。
しかしまだまだ前途多難というか、このiMacのボンダイブルーとかいう色がどんな色なのか、そしてトランスルーセント(スケルトン)の透明具合ってのはいかほどか?というのがサッパリ読めないわけです。
なにしろ実機はまだ発売されてないわけですからね。
幸いにも、当時のApple製品というのは世界同時発売ではなくて、日米でかなり時期が違うことがありまして、iMacについても日本は一ヶ月くらい遅れて発売される事になってました。
たしか7月に米国発売、8月に日本発売だったかな?
で、米国での発売と同時にiMacを購入して日本に持ち帰り、使うことなくバラして、ボンダイブルーのポリカーボネート外装をくり抜いたチップを成形会社へ発送。「これと同じ色を出してくれ!」と頼んだわけです。
んでもって目立ちたがりの社長は、関西のMacintshユーザー会mACademia(マカデミア)にこのiMacを持参、鼻高々と披露。その模様は以下のページに載ってます。
浪速に咲いた新・林檎伝説!関西『iMac』発売レポート!
さて、スピーカーの試作品が上がって来るまでの間に、名前が決定しました。その名は「CoZo」
社長曰く「BOZE(坊主)」ほどじゃないから「CoZo(小僧)」や
なんかよく分からんけどまあええわ。
で、グラフィックデザイナーさんからCoZoのロゴが出来上がってきて、僕の作った前出のCG画像と合わせて、Mac雑誌に広告を出稿!
インパクト強すぎたのか、問い合わせやら取材依頼やらが殺到、日本法人の原田社長(当時)が苦笑コメントを残したというエピソードまで漏れ伝わってきた。
さてさて、ようやく試作品もあがり、見事なボンダイブルーでトランスルーセントな色再現と、純正パワードスピーカー同等のパワフルなその音にスタッフ一同大満足。
ただちょっと低音が強いという印象を除いては・・・(後にこれがジェット☆ダイスケに影を落とす)
まあ、低音ブリブリがいいよという事での製品なわけですから、そのまま量産に入っちまったのですよ。
んで、予想どおり色んな意味でバカウケしたわけ。ナニワの小さな会社にしては大ヒット商品。
試作用に外装をくりぬかれたiMacについては、その後Agが使用するマシンとなり、冒頭で紹介したテレビCMもそのiMacで作成されたというオチ。
ところで僕はいまもMacのモニタスピーカとしてこのCoZoを使ってまして、そこで低音が強い点が非常にアレなのです。
通常はヘッドフォンで作業するのですが、適当に済ます場合にこのスピーカーでミックスダウンしたりすると、他のスピーカーで聴いた際にわりとスカスカでシャカシャカなのです。
もしも僕の作品で音が軽いものがあったら「ああ、CoZoでモニタしながら作ったんだな」と思っていただけると良いかと。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2006年8月19日 00:39