ブログの次にはなれなかったボッドキャスト、その理由
# 本来なら僕は、最もこういう事を書いてはいけない立場のうちの一人だろうけど(笑)
CNET Japan にて「リッチコンテンツの波間でポッドキャスティングは生き残るか」というコラムが掲載されてました。
- 動画やブログコンテンツとの競合
- 適合する場面に制約
- 収益化の難しさ
- 大手メディアとの競合
上記のような理由をあげながら、なぜポッドキャストはダメだったのかを解説する内容。
確かにラジオ番組の真似事をやるなら既に飽和状態。そういったコンテンツの山を指して「終わった」というならその通り。コンテンツ特性以外で件のコラムを補足するなら、ブログには出来てポッドキャストに足りないのは、コンテンツ同士の関係性を可視化すること。
トラックバックは個々のHTML同士をひもづけて関係を可視化できますが、ポッドキャストの場合は音声ファイルそのものを関連付けられません。「『ABC.mp3』は『XYZ.mp3』に対して言及している」というのが全く見えてこない。だから他者に言及する内容は少ない。さらにそのMP3ファイル達はiTunesやiPodへ切り離されるという不幸。大元の配信サイトがどこだったか忘れ去られることも多々。
「関係性の可視化」がないとブロゴスフィアのような一種の「世界」が形作られないし、集合知的な加速度が生まれないんですよね。ブロガー同士がブログについて様々に議論できたからこそ、幾多の「終わった」的な悲観論も乗り越え、様々なトレンドの波にもまれながらも長く続く人気ブログが沢山あるわけです。
ポッドキャストは、ブログに次ぐCGMの雄として鳴り物入りで登場したものの、そもそもの成り立ち/位置づけが、ブログやRSSのサブセットでしかないのだから、多少至らないのも仕方がないとは思います。
システムの不備がユーザーやコミュニティの成長を阻害する例として、ブログとポッドキャストの比較は非常に興味深いものがありますね。似非ラジオというイメージから脱却できなければ、ポッドキャストの未来は暗いでしょう。
ただし「enclosure」タグを得たことは、ブログにとっては非常にプラスになっていると思いますから、今後しばらくはポッドキャストという「仕組み」自体が廃れることはないとは思っています。
例えばYouTube動画をブログに貼りつつビデオポッドキャストも併用して、コンテンツの出先や視聴スタイルを増やすことが出来ますからね。ブログのサブセットという意味でも、やはりそういったブログの情報を補完する利用法がとてもしっくり来ます。
だからこそブロガーであるモダシンさんのポッドキャストの人気が高いのも頷けます。最近ポッドキャストやってないですけどkengoさんやいしたにさんにしても、テキストや写真といった普段の記事を補完する形でリッチコンテンツが出て来ますから、総合的な情報伝達力は圧倒的でしたね。
特にこういうネタはブロガーならでは。
▼Podcasting1回目はまた歯磨きネタ。:[mi]みたいもん!
ということで、本日発売のMacFan誌ですが上述モダシンさんのインタビューをやらせて頂いております(最後に宣伝かよw)。ポッドキャスターとして彼がフィーチャーされる機会は少ないので貴重ですし、今回は僕のコラムを削っていつもの倍のスペースでやってますので、書店で目にとまったら読んでみて下さい。
▼Mac Fan (マックファン) 2007年 11月号
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2007年9月29日 04:12