ハーレムの夢と現実の夢
こんな夢を見た。
そろそろハーレムも良いのではないかと思いたち、愛する女たちを家に招き入れた。
本妻はもちろんのことめいめいが嫉妬に狂いいがみ合って、この大所帯は立ち行かなくなるのではないかとも心配した。しかし、最初のぎくしゃくした雰囲気さえ乗り越えれば、あとはどうということもなかった。
少なくとも女たちの仲に関してはうまくいっているように見えた。
ところが困ったのは私の方だ。
女たちのおしゃべりに入る余地がない。ほとんど多くの話題は私にとって意味がわからないか興味がないかだ。楽しそうに彼女たちがしゃべるところに居合わせただけでも迷惑そうな顔をされる。家族が増えて私は孤独になったのだ。
ようやく話しかけてくれたと思ったら小言だ。これまでは本妻一人の小言を聞くだけで済んでいたのが一気に増えた。それも単純に人数分だけ小言の量が増えたのではなく、おのおの独自の視点からまったく違った小言を繰り出してくるものだから、私は何をしようにも全方位的に咎められることとなった。
居場所を失い、私は次第に家に帰らなくなった。そのうち外に妾をつくり、通い婚のような生活を始めた。
何年か経ち妾の数も増えた。毎夜ちがう部屋へと通う生活であったから、あの忌々しい家のことなど遥か遠い記憶のようにすっかりと忘れてしまった。解放感と充実感に満ちたとても楽しい日々が続いた。
しかし、それはほんの少し不便な生活でもあった。女たちそれぞれの部屋に私の持ち物が散らばっているのだ。紺の背広はあの妾の部屋、それに合う靴はこちら、お気に入りのネクタイはまた別のところ、鞄はあるが中身は一体どこかといった具合だ。
そこで私は考えた。どこかに手頃な家を借り、女たちを集めてハーレムにしようと。最初は女たちの関係もぎくしゃくするだろうが、そのうち馴れてくれることだろう。これはいい考えだ。
そこで目が覚めた。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2008年10月23日 00:50