産經新聞iPhoneアプリで判明したのは新聞紙は読みにくいということだ
本日、産經新聞iPhoneアプリを読んでいてまっさきに目にとまったのは、産經新聞がiPhoneアプリになったというニュース(笑)
紙の新聞がそのままiPhoneで無料購読できるという試みだが、いったい何が狙いなのだろう?
僕が感じたのはこういうことだ。
ただでさえ大きすぎて持ちにくく記事の区切りも毎回変わって読みにくい、情報デザインとしては最悪の媒体であるあの新聞紙が、そのうえピンチイン/アウト、タップ、スクロールという操作を強いることになって、さらに読みにくさが増したということ。
やっぱりiPhoneじゃ読みにくいから、ちゃんと紙の新聞を購読しようかな?
なんてことを本気で狙ってはいないだろうけど、それ以外に何につながるのだろうか。これに比べてITmediaのアプリは断然正常だ。あれがもし、ITmediaウェブページのスクリーンキャプチャを配布していたらと思うとぞっとする。産経新聞のアプリはそういうことだ。
「25面に関連記事」でハイパーリンク張らないって一体どういうこと?
このブログでも何年も前から書いてるけども、新聞社の武器というのは紙の新聞を配布できることではなくて、ジャーナリストを多数抱えているということ。
インターネットが普及した今となっては、紙を印刷してカブに載せて配ってるあいだに情報は陳腐化している。せっかく優秀な記者たちがマスコミならではの企画力や機動力を活かして作り上げたコンテンツが、Web上で議論しつくされたあとに出てくるようではいけない。
asahi.com(朝日新聞)が、夕刊連載をビデオで再構築したドキュメンタリーコンテンツを配信している。
▼前編「ネットはいま」マネーとネットの拡大 — 動画
▼後編「ネットはいま」現実とネットの融合
ハイビジョン画質でテレビの報道番組のようなテイストを目指しているように見える。じつはこれ、聞くところによるとカメラを回しているのは映像制作会社のプロカメラマンではなく新聞記者の方々が中心のようだ。記者自身がボイスレコーダーの代わりにビデオカメラを使い、テレビにもiPhoneにも転用し得るコンテンツを用意し始めたということだ。
これに比べて産經新聞のiPhoneアプリ化というのは、拍子抜けした感があるのは否めない。もちろん産経でも取材記事の補足に動画を活用しているが、重要なのはそこではない。クロスメディアとコンテンツの流通方法について、現時点でどちらがより真剣に取り組んでいるかということだ。
紙を売るのが仕事ではない、ちゃんと報道をやるということ、今の時代にあった伝え方というのを真摯に考えていない新聞社は、大手といえども生き残れなくなるだろう。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2008年12月13日 13:54