TENORI-ONを触ってみた感想
<追記 date="2008.09.11">
TENORI-ONの第一印象はさほど使いやすくなかったが、ちゃんとしたデモ演奏を見てまったく感想が変わった。なので、このエントリーでの印象は撤回する。デモ演奏後の印象は以下のリンク先へ。
▼TENORI-ON(テノリオン)はQYシリーズの後継機だった
</追記>
結論からいうと、これはあまり直感的なユーザーインターフェースとは言いがたいな。
TENORI-ON
TENORI-ONのキーワードで検索してみれば、ニュースサイトなどで「直感的な操作」といった見出しがいくつか出てくる。しかし、先にKAOSSILATORやDS-10に触れてしまったという事実を差し引いても、やはりどうもその点については納得が行かない。
演奏部分のインターフェースはともかく、そこに至るまでのボタン類など(シンセで言えば鍵盤以外のツマミなんかの部分のことね)が謎すぎ。
以下の動画はKAOSSILATORの発売日に楽器屋で撮ったもの。
【速報】話題のカオシレーターに触れてみた
仕事帰りにふらっと立ち寄って初めて触ったにも関わらず、ノブをまわして音色を変えるということまでちゃんと直感的に理解してるではないか。ニュータイプか(笑)
これがTENORI-ONではそうはいかなかった。簡単な使用説明の札が立ててあったが、インターフェースが難しすぎてそんなものを読んでも理解の地平の向こう側だ。
TENORI-ONのドットボタンをポチっと押してみると、そこにLEDが点灯しバスドラの音が鳴った。立て続けに押して点灯させてみると、どうやら16ステップシーケンサーらしいということは理解できた。が、他にどんなモードがあって何ができるのやらサッパリで「女性は機械ものに弱いからなあ by 磯野波平」状態。以上、終わり。
そもそも、シーケンサーをいじるような音楽知識が求められるなら鍵盤でも構わないと思った。鍵盤は横並びのみで白黒二色、TENORI-ONは縦横に色分けのないボタン。どちらがとっつきやすいかは言うまでもない。MIDI端子はあるけど、あれを鍵盤代わりに使うのは逆に面倒だと思うし。
光るというのはKAOSSILATORには無い機能だけど、KAOSS PADのほうで実現されているのであまり新しさも感じない。KAOSSのほうはビデオミキサーの製品もあったのに、TENORI-ONは聴衆側から見た裏面もイルミだというのみでビデオ出力が付いてないというのは片手落ちにも感じる。
そしてなぜか高級感のあるメタルボディ。電子楽器にはチープでポップなプラスチックというのが今の時代の感覚に近いと思うんだけどなあ… タッパーウェアのシンセや幼児玩具のサーキットベンディングの方が見た目かっこいいもん。その方がかっこいい音出そう。
先に「ニュータイプか」と書いたけども、これ冗談でもなんでもなくて、ユーザーに「おれスゴイ」って思わせなきゃダメだよね。身の程をわきまえている人はその後「おれ」じゃなくて「これスゴイ」とも言ってくれるはずだし。
GarageBandも同じなんだけど、スゴイひとがスゴイことできるのは当たり前で、そうじゃない人にもそれなりに出来るものを提供しないとウケないだろうなあ。
うーん、一体なんなのだろうTENORI-ON
作りがちょっと独りよがりかもね。KAOSSILATORとDS-10のコストパフォーマンスにも遠く及ばなさそうだし。
とはいえ、先行発売のイギリスでは好評で、ビョークが5台買ってライヴで使用しているという逸話も。ビョークはまあAlesis AirFXもライヴに投入するような飛び道具好きなので参考にはならないけど。
ところでローランドはこの手の分野に参入しないんだろうか?最近買ったローランド製品といえばBOSSブランドのルーパー「BOSS RC-20XL」くらいだなあ。
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投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2008年6月 4日 02:00