鯨の尾の刺身を食べてから反捕鯨に反論してほしい
鯨を食べるのは日本の伝統食文化だという主張はなんとなく分かるんですが、それがどれほどの範囲でそうなのかよく分かりません。
範囲というのは地域と世代という意味で。
ある地域のある世代の人にとっては捕鯨という漁自体も含めて文化だったかもしれません。しかし巷でよく耳にするのは、貧しかった時代の牛や豚の代用肉としての話です。その手の話では、あまり美味しくないという意見が大半を占めているではないですか。
今となっては、まずいものをわざわざ食べる必要はないのでは。そのうえ、食文化だなんて主張しなくても良いんじゃないの。
で、僕が言いたいのは、捕鯨に反対とか賛成とか鯨の味はまずいなんてことではなくて、鯨は美味しいということ。
10年くらい前は、行きつけの寿司屋でたまに鯨の尾の刺身や握りを出していることがあって、これがもう一度食べたらやみつきになる美味さで、店にあれば必ず注文していたものです。しかも人気のネタなので、19時くらいにはもう売り切れているほど。
見た目的には、ありがちなドス黒い物体ではなくて、馬肉のような赤い綺麗な肉です。この写真をごらんください。
先週、美味しんぼ47巻を読んでいたらちょうど鯨の尾の刺身について海原雄山が語ってまして、獣肉と魚肉の良さを兼ね備えて、生食でこれ以上美味しい肉は存在しないとまで。獣肉と魚っぽさをあわせ持つ点については僕も同じように感じてました。
#そもそもこのエントリーも美味しんぼを読み直していて、その味を思い出したことから書こうと思ったのです。
それで、もしもマズイとか臭いとか筋ばってるとか、鯨肉について悪いことばかり言ってるような人で、それでも愛国心などから反捕鯨についつい「食文化だ」と反論してしまうような人がいたとしたら、おまえちょっと待てと思うわけです。美味いほうの鯨も食っとけと。
もしも、鯨はおいしくないから捕鯨はやめてもいいという日本人がいたら、お前はなおさら美味い鯨いっぺん食ってみろと言いたい。
まあ動物保護の視点に味など関係ないので「美味しいから何?」と言われてしまえばそれまでですが、そこに反論するうえで、鯨を日本の伝統食文化とからめて考えるならせめて美味しいと言い切れなくてはいかんでしょう。
誰が言うでもなく、共通認識として「鯨は美味しい」と。
若い人は食べる機会がない、食べていた世代は「まずい」と口を揃える。でも食文化だから、という奴がいる。そういうのはもう国というか文化圏としてダメでしょう。
だから美味い鯨食え。鯨に限らず米も魚も。
と言ってる僕も、今では寿司屋で鯨を置かなくなったので、他を探してみたりもするものの、あの味にはなかなかたどり着けません。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2008年6月30日 02:12