大阪名物くいだおれ本日閉店。最後の日曜日は別れを惜しむ観光客が殺到した
くいだおれ太郎、最後の日曜日の模様を動画で。
92年の阪神タイガースは強かった。ほぼほぼ優勝確定までしていたのだから。
そのときカーネル・サンダース人形の代役として、第一候補と目されていたのがこのくいだおれ太郎であった。今日にも優勝が確定して、いますぐ太郎が道頓堀に投げ込まれるかという、一触即発の緊張感は本当にすさまじいものだった。
しかしその張りつめた緊張が頂点に達したある日、逆に誰もが一気に脱力することになる。太郎が浮き輪をかけ「わて泳げまへんねん」と吹出しをつけていたのだ。シュノーケルも装着していたかもしれない。
そのいつもとは違う姿に、人形ながらも無二のキャラクター性、人間臭さを感じた。人生最大の危機を"お笑い"で切り抜ける。並の人間にできることではない。それを人形がやってのけたのだ。誰に屈することも誰を傷つけることもなく。
それ以来、くいだおれ太郎のファンだ。
彼はただの人形じゃあない。ただの看板でもない。あいつには命が宿っている。だからこそ、通りを埋め尽くすほどの人が集まり、みな別れを悲しんでくれるのだ。
2008年7月6日、閉店前の最後の日曜となったこの日、くいだおれ太郎の前にはひっきりなしに人が訪れていた。皆の心のなかにそれぞれの太郎が息づいているのだろう。
7月8日、今日くいだおれは閉店する。
明日からは、あの場所に彼の姿はない。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2008年7月 8日 07:50