ブロガーが企業から商品をもらって書くのは、もらわずに書くより良いと思ってる
グーグルさんのペイパーポスト問題以降、多くのブログで、そういった手法の是非についての話題が尽きませんね。
そして、企業からブロガーに商品を提供するということにも話は及んでます。記事の執筆に際して商品をもらったのか、それとも商品を借りただけなのか等々。
一読者の立場としては、もらった/もらってないはどっちでも良くて(そもそもそんなことすら気にとめなくて)、ただその記事の内容が僕の心に響いて「いいな」と思えるならそれでいいと思います。
参考リンク1:ペイパーポストかどうかが問題ではなく、読者にどう受け止められるかが問題だと思う : tokuriki.com
参考リンク2:クチコミと広告の境界が問題なのではなく、利用者を騙そうとしているかどうかが問題だと思う : tokuriki.com
まあ、こういった話は狭い世界でのテクニカルなことなので置いといて、
僕が確信しているのは、商品をもらって書かれた記事の方が、もらわずに書かれた記事より断然伝わることがあるんです。
なにが伝わるかって?
そりゃ所有する喜びですよ。
僕は常々思っているのですが(そして事あるごとに言ってるのですが)、カタログスペックについてひたすら述べるような記事であれば、それは文字通りメーカーのカタログで事足りますし、従来品や他社製品との比較もその延長線上にあり、そしてその類いはプロのライターの領分だと考えています。
もちろん特定分野に詳しいブロガーがそういった記事を書くのは興味深く読みますが、それ以上に読者としてブロガーの記事に求めたいのは、それを所有しておまえはどれだけ満足できたんだ?ということです。
一般読者に近い目線を持っているブロガーの記事だからこそ、それを伝えてくれるんじゃないかと(無意識であれ)期待しながら読んでますから。
僕の知ってる某映像プロデューサーの方で、自分の所有する初代iMacが愛おしくて愛おしくてたまらなくて、オシッコをかけたら故障してしまったという人がいるんですね。
そこなんですよ。
オシッコはまあその人の性癖なんで置いとくとして、明日になったら返却しなきゃいけないようなものに愛着なんて持たないんですよ、所詮ゆきずりだもの。
所有してない奴に、所有する喜びなんて伝えられんよ。
ということです。
もらうよりも自腹で購入するほうが尊いなどと考える方もいらっしゃるでしょうが、それにしても持てる者と持たざる者の違いほどではないです。有るか無いかという点では、もらいものも自腹購入も同じ「有る」状態ですから。
これ、食べ物でかんがえるとハッキリ分かります。
『この肉、舐めたり噛んだりしてもいいけど、飲み込んじゃダメよ』
それでレビュー書かれてもなあって感じするでしょ。
昨年はハイボールやホルモンなど素晴らしいグルメ系ブロガーイベントがありましたが、食べるな飲むなと言われると成立しなくなりますね。テイスティングじゃ欲望は満たせないよ。
僕もライターとしてレビューを執筆することはありますけども、それってソムリエの役割をやるんだといつも思ってます。これはテイスティングでいいんです。
対して、ブログでのレビュー記事は隣のテーブルの客みたいなものですかね。『あ、なんか美味そうなの飲んでるな、俺もあれオーダーしようかな』と思うことあるじゃないですか。
じゃあそんなとき、隣のテーブルの客から何を感じとっているかといえば、うんちくでもストーリーでもなくただひたすら「美味しそうな顔」してる印象なんだと思います。
つまりは、先述の「所有する喜び」ですね。これを同じ目線の高さで伝えられるのは本当にいまブロガーくらいしか思いつかない。
前にブロガーのひとたちが大勢、スカイラインの試乗だかなんだかで沢山記事を書いてましたけども、あれ見ても残念ながらなんとも思わないというか、そういうイベントはソムリエ学校みたいなもんだと思うんです。
それよか石谷さんがスカイライン一台もらって嬉々として乗り回してるの見たら、まるで車に興味のない僕ですら欲しくはなると思います。いまちょっと想像しただけでも、それで心が動くのは確実と思われます。
自分のそういう購買行動がよく分かってるので、商品を貸し出してもらってのレビュー依頼というのは基本的にぜんぶ断ってます。伝えきれる気がしない。
くれ、さもなくば買うぞ
というスタンスで。
ところでさ、要返却のモニターをやるブロガーで「欲しいです」なんて褒めちぎっておきながら、その後ほんとに自腹購入する人って見たことないなあ。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2009年3月 4日 14:08