クラヤミ食堂でトイレに行く方法
前回の「クラヤミ食堂に行ってみた」では、無事に暗闇のなかで紙エプロンを付けることができました。
さあ、いよいよクラヤミ食堂のはじまりです。
まずは「旅立ちの香り」として、両手に霧吹きのようなもので液体がふりかけられました。香水かと思ったのですが、その香りはまぎれもなくウイスキー。今回のテーマであるタリスカーでした。
この香りと音楽の演出によって一気に、蒸留所のあるスカイ島への旅に誘われます(この回ではそういうシナリオでした)。
そして周りの皆さんにご挨拶し、自己紹介。
握手などもして互いの間合いを計ったら、ここで一斉にタリスカー10年のソーダ割りで乾杯です!
が、正面にいた人がとても大人しい方であまり声を発していなかったので、何度も何度も「乾杯!」と腕を振り上げては空振り。そのうち水の入ったコップにぶつかりテーブルの上がびしょ濡れになってしまいました(笑)
係の方に外まで連れていかれ、そこで服をチェック。幸いなことにどこも濡れていませんでした。
またすぐにテーブルに戻ったのですが、この小事件のおかげで、表情が見えないながらも皆の緊張もほぐれているように感じました。自然と会話の輪ができあがっていたんです。
目が見えてないので箸を使うのはとても難しいです。だからフォークを使ってあてずっぽで刺して食べました。
口にしてから『これはホタテ?わかめ?』といった感じに、見えないのを逆手にとってクイズのように楽しめます。
食べ終わったかどうか分からないので、お皿を手でさわってみて確認しました。勢いあまって向かいの人のお皿まで手を伸ばしてしまったりも(笑)
そんなハプニングは周囲のひとも多々あったんでしょうけど、まあ黙っていれば誰にも分からないという面白さもありますね。
カルパッチョのつぎはスープ。
タリスカー10年をミストスタイルで、そしてペッパーオントップでと、お料理にあわせて饗されるタリスカーも次々に変わります。
暗闇だとお酒の香りや氷、泡、グラスの形が、いつもは気にしないようなレベルで気になりますね。どんなウンチクよりもずっと、こうして暗闇で飲んでみるのが一番かもしれません。ウイスキーは暗闇が似合うお酒だと思うし。
ところで司会の方からも注意があったのですが、どうやら暗闇だとお酒を飲み過ぎてしまうようです。テイスティングのつもりでいても、視覚情報が不足しているぶん、ついつい舌に触れる量で補おうとするんでしょうね。
その酒量に伴い酔ってしまうのも問題ですが、トイレが近くなってしまうという避け難い事態も起きます。しかし、視界を奪われた状態でどうやってトイレに行けばいいんでしょうか?
大丈夫です。
席についたままスッと手をあげれば、係の人が来てくれます。「トイレに行きたい」と言えばちゃんと手をひいて連れていってくれますよ。
さすがにトイレに入ってからは目隠しをとることができます。そこは心配しなくていいです。用が済んだら目隠しをしてトイレのドアを開ければ、またテーブルまで連れていってもらえます。
ここでひとつアドバイス。
トイレから戻ったときはちゃんと「戻りました」と宣言することをお薦めします。誰も何も見えていないですし、視界がないので皆さん会話にとても神経を集中しております。ふらっと戻ってきても気付いてもらえないのです。だからテーブルに戻ったことをちゃんと伝えた方がいいです。
以上、私のクラヤミトイレ経験談でした(笑)
そしてこのクラヤミ食堂レポートは最終回の「クラヤミ食堂はお口のなかでしあわせが大きくなるレストランだった」へとつづきます。
それにしてもタリスカーは良いお酒ですね。
これまでほとんど飲んだことがなかったんですけども、10年、18年、ディスティラーズエディションを色んなスタイルで楽しむことができて、一気にファンになってしまいました。家飲みの習慣はあまりないので、どこかのバーに置いてあったらまた飲んでみよう。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2010年11月 8日 06:18