米パニック必至か、水から放射性物質が検出された都県での米収穫量は日本全体のおよそ半分にものぼる
放射能騒ぎで、福島・宮城産のお米が売れ残っていたというツイートがありました。日本人として恥ずべきことだと思います。
風評に踊らされていることではありません。米の収穫時期がいつか知らないということです。主食のことすら知らないようでは他の作物や食品についてもだいたい程度は知れています。パニック買いに走るような方々は当たり前のことを何も知らないということです。
天皇陛下がご自身で毎年田植えをされるほど、日本人と米は切っても切り離せない関係です。国民的英雄を演じた黒部進氏も撮影の合間を縫って田植えのために帰郷していたという噂を聞いたことがあります。もはやソウルフードどころではありません、米は日本人の心そのものです。大阪人にとってのお好み焼きだといえば理解できるでしょうか。そういった例を挙げるまでもなく皆さん毎日たくさんごはん食べているとは思いますけどね。
目下のところ世の中の関心は電力不足のまま東京の夏をどう乗り切るかということのようですが、ゴールデンウィークには田植えの時期を迎えてしまうというのにどんどん米所に放射能が降り注いでいるということも忘れてはなりません。いや、そっちの方がずっとずっと重要。
さて既にご存知かとは思いますが「全国の水道の放射能濃度」というウェブサイトがございます。これによりますと水道水から放射性物質が検出されているのは今日現在のところ、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川です。
宮城県は災害被害で計測できてないそうですが、地理的にみてここの水道水からも検出されると考えるのが妥当でしょう。これも含めると、じつに1都11県という広域に渡ります。ちなみに他府県の値は今のところヨウ素、セシウムともに不検出となっています。
日本の米は水田稲作です。
水田ですから水を大量に使います。あらためて土壌汚染などを調べるまでもなく、こういった放射性物質に汚染された水を使えばごくわずかにしろ(ただちに健康を害する量でなくとも)作物に付着することが容易に想像できます。
仮に作物からまったく何も検出されなかったにしても、風評被害という恐ろしいものもあり得ます。なにしろ冒頭で書いたように、去年収穫した安全な米が売れないほどですから。
農水相がメッセージ「コメ在庫は十分」「政府備蓄米も放出用意」というニュースによりますと、年間米需要は811万トン程度だそうです。そして現時点で民間の米在庫は200万トン、政府備蓄米が100万トン、新米と合わせて1013万トンは確保できるとの予想。
ここに「水稲の都道府県別収穫量」という資料があります。そのなかの平成22年産水稲の都道府県別収穫量(Excel)では全国での米収穫量(主食用収穫量)はおよそ824万トン(8,239,000)となっており、前出記事の年間米需要811万トン程度と近い数字になってますね。そして水道水から放射性物質が検出された1都11県における米の収穫量の総和は
およそ382万トン(3,823,209)にのぼります。
おや?
824万トンのなかの382万トンということは、ぎりぎり半分には届かないにしても46%以上のお米が件の1都11県で収穫されてるように見えます....よね?
すでにホウレンソウや原乳の出荷停止指示、そして風評被害で売れないといった混乱はご承知の通り。困ったことに被災した東北はどこもブランド米の産地ばかりですから、このブランドが傷ついてしまうような事になるといかんともしがたい。
米がなければパンを食べればいいのにと誰かが言いそうですが、米がなければ日本酒もできません。せっかく地震倒壊を免れた酒蔵があっても米がなくては....
自分はお酒飲まないとかウイスキー派だとか抜きにして、和食の多くに日本酒が使われるという点を見落とさないでください。日本酒だけでなく米酢、みりん、味噌など日本料理の根幹を成す調味料も米あってこそです。
原乳はバターに加工すれば大丈夫という情報も既に出てますので、米のほうも加工品、醸造などで変わるとは思いますがその辺の情報も不足しています。猪瀬直樹さんのツイートにあったPDF資料「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」3ページ目によれば、放射性降下物の多くは玄米の胚芽に集まるということで、精米と水洗でかなり高い割合が除去されるようです。付着の度合いによるということでしょうかね。
実際のところ放射性物質については距離だけでなく風向きも大きく関わるとのことですから、東北地方でも東京より放射線の値が低いということもありますし、田畑の土壌や水質についてはこれから政府や自治体にしっかり検査してほしいところです。そのうえで確実に安全なところはちゃんと安全宣言を出すといったことが大切になりますね。
ともあれ消費者によるパニックは避けてほしいですし、誤った考えなども持たないようにしてほしいなと思っています。タイ米が話題になった1993年米騒動とはまったく違った要因ですし、そもそも不足すると決まったわけではないので標題はあえて米パニックとしております。
津波のビフォーアフター写真を見ると、多くの農地が海水に浸かっておりますので塩害も心配されます。また家屋倒壊など農家の方々自身の被災も、米の収穫量に大きく影響するのではないかと心配になりますよね。
また、田植えしてはみたものの、収穫したらやっぱりダメでしたとならないためにも、早急に放射性物質の放出に関してはかたをつけてしまわないといけませんね。とにかくゴールデンウィークの頃には植え始めなくてはなりませんので。このまま米作っちゃっていいものかどうか?それを判断するのは誰?どうなってるの今?
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2011年3月26日 23:34