KORG littleBits Synth Kit はモジュラーシンセの完成型を予感させるモノだった
littleBits(リトルビッツ)記事の第二回目はなんとシンセサイザー!
KORGさんよりブツを送っていただきました。
まず言っておくと
littleBits(リトルビッツ)は電子工作キットとカテゴライズされていますが、それ以外のちゃんとした名称を見つけないと本当にもったいない。だってこれ電子工作キットじゃないし、知育玩具とか子供向けだとか教育目的とかも含みつつ全然ちがう別物なんだからね。強いて言えば「楽しい」ものです(笑)
※ 前回の記事も合わせてお読みください↓↓↓
▼これぞ大人の電子玩具「littleBits(リトルビッツ)」正直ナメてたけどいま激ハマりしてる電子工作キット
それで今回のシンセキットに関しては、KORGさんが手がけてるということで期待大で遊んでみました。鳴り物ですので、どういったものかは以下の動画でご覧ください。大変わかりやすい内容となっております。
ご覧になってみてどうですか?
他のキットと組合せて拡張するのもなかなか良かったでしょう?
LEDのバーグラフとかモーターで、ノコギリ波や矩形波を視覚化するなんてのも楽しいですよね。視覚化してみると、この矩形波をパルスのモジュール(→ 前回記事参照)の代わりに使うことができるのもお分かりいただけたでしょう?
こういった遊び方はシンセサイザーというよりも、まるでクォーツコンポーザー(Quartz Composer)の実写版(笑)みたいな感覚ですね。
さて、ほぼ語るべきことは前出の動画のほうでやってしまったので(それにテキストでああいったことをお伝えするのは難しいので)、この先は「littleBits Synth Kit(リトルビッツ・シンセキット」のセット内容について、写真をまじえながらお伝えしたいと思います。
まずこちらが化粧箱ですね。他の littleBitsキットとちがってゴージャスな金色です。
蓋を開けたら目に飛び込んでくるのはこの一文「あなたのなかに眠ってるロック・スターを呼び醒ます」
説明書は「音とは」という根本的なところから始まり、シンセサイザーの文化的側面についてのコラムや、キット内容の説明、そして具体的な工作例まで手取り足取りやさしく書かれております。これなら初心者や子供でも大丈夫だと思います。
どういう意味なんだろう?
と少し考えてみたのですが、前回記事にて『設計図がそのまま動いてる』と例えたような意味でもあるかなと思いました。「作るための何か」もっと噛み砕いていうとプロトタイプでしょうかね。
なにしろ半田ごて要らず、littleBitsのモジュールなら磁石でぺったんこですから試作回路が手間なく素早く組めて、すぐさま動作確認に移れますもんね。
さあ、この箱に含まれている各モジュールを紹介していきましょう。何をするにも一番大事「p1 power」電源モジュールと9V電池です。
モジュール上には、9〜12V、中プラス、外マイナスの表記がありますね。これに合致するなら恐らくは市販の汎用ACアダプターなども使えるのではないかと思います。
シンセといえば欠かせないのがオシレーターですね。このキットでは「i31 oscillator」というモジュールが二個含まれています。下図のようにそれら二個を接続してフリーケンシーモジュレーションも可能です。
矩形波とノコギリ波の切替式、pitchノブで出力ピッチを調整、tuneノブで(鍵盤演奏などのために)チューニングができます。
残念ながらサイン波と三角波はありませんけども、ホワイトノイズを出すモジュールでしたらあります。それがこの「i34 random」です。
スライドスイッチにより「noise」を発生させるか、または「random voltage」かを選べます。後者は電圧をランダムに変化させるもので、シーケンサーの「trigger out」やオシレーターにつなぐと予想外の変化があり楽しめます。
まだ試してないけどランダムな電圧だったら、高輝度LEDやバーグラフ等の光物モジュールなんかにつないでも楽しいかもね。
コントローラーとしては下のふたつ、キーボードとシーケンサー。
「i30 keyboard」は1オクターブ=13個の鍵盤を持っており、ダイヤルによって4オクターブ分まで演奏可能とのこと。
キーを押している間だけ鳴る「press」と、最後に押したキーが鳴り続ける「hold」のどちらかを選べます。後者は音作りの際に便利ですね。
通常、オシレーターの接続は右端のアウトプットへ、またその他のモジュールへトリガーを送るには右上部の「trigger out」に接続できます。
鍵盤で演奏というよりはこの手のものはやはりシーケンサー向きでしょうね。「i36 micro sequencer」は4つのノブが付いたシーケンサー。
「speed」のダイヤルでテンポを調整できます。「clock」のディップスイッチを「speed」から「step」に切り換えることで、パルスやボタンなどのモジュールでもコントロール可能だとか。ボタンならパーカッションにも面白そうですね。これも右上部に「trigger out」を備えています。
試してはないけど、この「i36 micro sequencer」モジュールをもう1つと、インバーターのモジュールを組み合わせたりすると裏拍も打てるのかしら?本格的な16ステップシーケンサーも欲しいところですね。
音色を決める大切な要素がこのエンベロープ「i33 envelope」モジュール。「attack」および「decay」を調整できます。「trigger in」も装備。
シンセといえばやっぱりフィルター。「cut off」と「peak(resonance)」のツマミをいじってる時間がいちばん幸せですよね。
このキットの「i32 filter」フィルターモジュールは、かの名機 KORG MS-20後期型と同じものだそうです。「freq in」も備えています(上図)。
「i35 delay」ディレイ・モジュール。
特に語るべき点はないですが、ちゃんとディレイとして機能してます。
そしてこれらを「o24 synth speaker」スピーカー・モジュールに接続することで音が出ます。これが凄い爆音(笑)
ちゃんとボリューム調整もヘッドフォン端子もあるのでご安心を。
オシレーター2個+ノイズなので、スプリッターとミキサーが付いてるというのは嬉しいですね。この littleBits Synth Kit に含まれるセット内容は以上になります。前出の動画ではさらに他のキットのモジュールも加えて遊んでいる部分もあります。そうなると、まさにクォーツコンポーザー(Quartz Composer)に例えたように、シンセサイザー様の回路が音を鳴らすためだけに存在するのではなく、この電圧変化等でLEDの光であるとかモーターの動きであるとかまで制御できてしまうわけですね。
ま、そこまで電子工作的にならなくても、もちろん単純にシンセサイザーとして単体で遊んでも良いキットではあります。
先述のとおりプロトタイプ製作にも良いキットだとは感じつつも、この littleBits Synth Kit については「筐体がないからこその自由度」というのは感じたので、これを特定の組合せでタッパーに入れるなどという無粋なことはせず、磁石でつなぎ変えながら自由自在に遊ぶというのが本質かもしれません。
なんといってもモジュラーシンセの在り方ごと変えてしまったわけです。タンス状だったものが今ではフリスクかガムかといった程度のものに。ケーブルでのパッチングではなく磁石でモジュール自体つなぎ変えるとか、どこかのウェブメディアが「モジュラーシンセの再発明」という例え方をされてましたけども、むしろ理想的な「モジュラーシンセの完成型」を垣間見せてくれたという方が近いかなと思います。
littleBits ブロックで組み立てる電子楽器 Synth Kit リトルビッツ シンセ・キット
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投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2014年1月 6日 04:10