高いデジカメ買っても結局はiPhoneで撮るんでしょ?という皆様へ 不射之射(ふしゃのしゃ)のススメ
人のカメラ話に首を突っ込んで来ては、標題のように言うような方もいれば、
「何十万もするデジカメ持ってるのに、iPhoneでしか撮ってないじゃん」と皮肉めいた言い方をする者もおります。
さらには自省をこめてなのか、
「良いカメラを所有していても、普段から持ち歩いていなければ撮れない」
などと仰る方々もおります。
嗚呼、これは自分にも当てはまるなと感じた方は、一度
中島敦「名人伝」を一度読んでみると、考え方も変わるかもしれません。カメラや写真の話ではないにしろ、同じくシューティングにまつわる寓話であります。学ぶところは大きいです。
青空文庫にもありますので、無料で読めます。
青空文庫URL→ http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/621_14498.html
一通り出来るようじゃな、と老人が穏おだやかな微笑を含ふくんで言う。だが、それは所詮しょせん射之射というもの、好漢いまだ不射之射を知らぬと見える。
至為は為す無く、至言は言を去り、至射は射ることなしと。なるほどと、至極物分りのいい邯鄲の都人士はすぐに合点した。弓を執らざる弓の名人は彼等の誇ほこりとなった。紀昌が弓に触ふれなければ触れないほど、彼の無敵の評判はいよいよ喧伝された。
ニコニコ動画のほうには川本喜八郎の「不射之射」として人形劇がありました。私も名人伝より先にこちらの方を知りました。四半世紀ほどを経て、いまでも大傑作だと思います。
あ、だから
私がなにを言いたかったかというと「高いカメラ持ってるくせにiPhoneで撮るのか」等と無粋なことを言ってはいかんということですよ(笑)だいたいいつも不射之射なんですけど、最近はたまたまケータイにカメラが常備されてるだけなのですから。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2014年3月22日 08:27