スティーブ・ジョブズの良いところばかり真似たがる人たち
世の中にはスティーブ・ジョブズに関する書籍や記事があふれていて、その死後も彼に憧れを抱いている人たちが沢山いらっしゃるようです。
そのこと自体は悪くないです。
コンピュータ史だけにとどまらず人類史において多大な影響を与えたといっても過言ではない人物ですから。
ただ、ファンの方々というか、信者の方というか、たびたび出会うスティーブ・ジョブズに傾倒している輩の話などを聞くと、このひと大丈夫だろうか?と思ってしまうことも少なくないです。
私がいくつかジョブズについて読んだなかでは、大抵はその功績についてスポットライトをあてると同時に、彼の暗黒面や常人とは一線を画すようなクレイジーさにも触れています。ここまで書けばもうお分かりでしょうけど、人格というのは裏表あわせてのことです。長所や短所に分類される様々な面をひっくるめて一人の人間です。
スティーブ・ジョブズが裸足で歩き回る、風呂に入らない、髪や髭が伸びっ放し、そういった逸話を読んで私は安堵します。嗚呼、スティーブ・ジョブズほどの大人物でもそうなのかと。じゃあ私のような普通の人間がそうでも仕方ないと。実際にそのような人間だった私にとっては、それはそれは好感のもてる話であります。世紀の偉人とダメっぷりが同じなんですから安心せずにはいられません。
蛇足で余談ですが、過去の職場であるとき、周囲の者が次々に異臭がすると口にし、原因は私の三年ものの熟したアクアシューズだったということがありました。アクアシューズは基本、素足で履くので臭くなりやすいのです。そのうえオフィスに着くやいなや、私はそれをデスクの下に脱いで裸足になるので、悪臭のもとが開放されるかたちになってたんですね。さすがにその事件以降は、サンダルやシューズをこまめにナニしてますけどね。以上、蛇足と余談終わり。
さて、そういったジョブズの一見よろしくない逸話の数々は、彼の「奇異な行動」の一面として描かれることも多いためか、そこに着目するジョブズ信者さんにあまりお目にかかったことがございません。
あなたどうですか?
ジョブズの魔法のようなプレゼン術とか、常人が持ち得ない審美眼とか、はたまた発想力なんてことばかり気に留めてませんか?なんなら自分もそういう部分を見習いたいとか、そうなりたいと憧れたりしちゃったりなんかしちゃったりしてませんか?
オフィスで裸足でもないくせに!
毎朝、髭剃ってるだろ!
異彩を放つ奇才は異臭も放っていたことをお忘れなく。先述のとおり良いとこも悪いとされるところも含めてひとつの人格ですから、世の中から称賛されるような部分だけ欲しがっても無理ゲーだと思いますよ。別に風呂入らないからといって大人物になれるわけでもないですけどね。ていうか大人物の多くは裸足でも髭ボーボーでもないと思うわ。
他人を傷つけるのも厭わないほど自己中心な言動というのもあまり日本人では見かけませんし、どうせ皆さんはなにも問題が起きないよう細やかな気遣いで慎重に言葉を選んでるでしょう?
敵を作るのも避けたい方には、苦虫を噛み噛みしながら、せいぜい「他社より劣る製品」を売る機会くらいしか真似できないでしょう。そのようなメガヘルツギャップとかギガヘルツギャップの時代にあってもジョブズの場合は、たった500MhzのPowerPC搭載マシンをドヤ顔で出して、フォトショップ動作速度デモまでやって見せたりしてましたけども。そういう厚顔ぶりは、やはり平気で異臭を放つくらいでないと無理かもしれない気がしました。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2014年6月 7日 07:31