アルジャーノンに花束を/24人のビリー・ミリガン著者ダニエル・キイス氏死去
アイデンティティをテーマにしたSF小説や、解離性同一性障害(過去に多重人格と呼ばれた症例)などを扱ったノンフィクション作品などで人気を博した作家のダニエル・キイス氏が亡くなったそうです。
24もの人格を持つというビリー・ミリガンの話は、当時としてはとても衝撃的な内容で、テレビなどでも話題になったので憶えている方も多いのではないでしょうか。その後、多重人格ブームとも呼ばれる類似テーマの作品のオンパレードとなりました。
「アルジャーノンに花束を」は恋愛小説か何かと勘違いされてる方も多いんですが(まあ恋愛要素もストーリー的には絡んできますが)早川書房から出ている歴としたSF小説であります。
私らの世代なんかだとBOØWY解散直後の氷室京介がソロアルバムのモチーフとしてフィーチャーしたことでも話題になりましたし、その後、2002年にユースケ・サンタマリア主演でテレビドラマ化されるも振るわずという結果でした。現在では、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と同様に、様々なパロディの下地として
ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください。
という本書の最後の一説が引用されていますよね。そのパロディの原点を知るためにも是非お読みいただきたい一冊です。
他にもブームに乗って刊行された「五番目のサリー」や「クローディアの告白」など何冊か読みましたが、いちばんお薦めしたいのは「心の鏡」という短編集です。
心の鏡 (ダニエル・キイス文庫)
長編小説版「アルジャーノンに花束を」の元となった中編版を収録しておりますが、これは読んでみると意外に物足りず、むしろ長編を先に知ってしまっていると「つまらない」とすら感じるものでした。
が、その他の短編が豊作でして、なかでもSF作品の「エルモにおまかせ」がお薦めです。コンピュータ(ロボット?)の知性と人格という、現代でも十分通用するというか、むしろソフトバンクからロボットが発売される今だからこそ読み直したい作品ともいえます。
アマゾンにはダニエル・キイスの特集ページがありました。
→ Amazon.co.jp ダニエル・キイスの著書
代表作である「アルジャーノンに花束を」そして私がお薦めしている「心の鏡」については、文庫だけでなくキンドル版の電子書籍も用意されているので、試しに読んでみるには良いかもしれません。
投稿者 愛場大介(Daisuke AIBA / Jetdaisuke) : 2014年6月18日 10:32